Z 中小企業者に対する特例

1 納税義務の免除
基準期間の課税売上高が3千万円以下の事業者は、その年又はその事業年度について納税の義務が免除されます。
2 課税事業者選択届出
免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税の税額控除は認められないので、その還付は受けられません。
輸出業者のように経常的に消費税額が還付になる事業者等は、還付を受けるために課税事業者となることを選択することができます。
課税事業者となるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出することが必要です。
この届出書は適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに提出することが必要です。
この届出書を提出した事業者は、事業廃止の場合を除き、課税選択によって納税義務者となった最初の課税期間を含めた2年間は免税事業者に戻ることはできません。
3 基準期間のない法人の納税義務の特例
その課税期間の基準期間における課税売上高が3千万円以下の事業者については、納税義務が免除されます。したがって、新たに設立された法人については基準期間が存在しないことから、設立当初の2年間は原則として免税事業者となります。
しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本又は出資の金額が、1千万円以上である法人については、その基準期間がない事業年度については、納税義務は免除されません。
4 簡易課税制度
1 制度の概要
消費税の税額は、通常は次のように計算します。
(課税売上高)×4%−(課税仕入高)×4%
しかし、その課税期間の基準期間の課税売上高が2億円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことのできる簡易課税制度の適用を受けることができます。
 
 
  この制度は、控除される課税仕入れの税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率が適用されます。
みなし仕入率
第一種事業(卸売業)     90%
第二種事業(小売業)    80%
第三種事業(製造業等)   70%
第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%
2 仕入控除税額の計算
 (1)基本的な計算の方法
    イ 1種類の事業だけを営む事業者
1種類の事業だけを営む事業者の場合は、その課税期間の課税売上げに対する消費税額に、該当する事業のみなし仕入率を掛けた金額が仕入控除税額となります。
    ロ 2種類以上の事業を営む事業者
2種類以上の事業を営む事業者は、それぞれの事業の課税売上げに対する消費税額に、それぞれのみなし仕入率を掛けた金額の合計額が仕入控除税額となります。
 (2)特例の計算
2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。
3種類以上の事業を営む事業者で、特定の2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の課税売上高の75%以上を占める事業者については、その2業種のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高については、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上げに対して適用することができます。
計算例
課税売上高の内訳
第一種事業部分  45%
第二種事業部分  35%
第四種事業部分  20%
(1)基本的な計算 
(みなし仕入率)
第一種事業部分  90%
第二種事業部分  80%
第四種事業部分  60%
(2)特例計算
(みなし仕入率)
第一種事業部分  90%
第二種事業部分  80%
第四種事業部分  80%
 (3)事業区分をしていない場合の取扱い
2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算することになります。したがって、事業ごとに課税売上げを区分することが消費税の計算上必要となります。
3 簡易課税制度の届出
適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を提出することが必要です。
 
  この届出書を提出した 事業者は、事業廃止の場合を除き、2年間は実額計算による仕入税額の控除に 変更することはできません。
  また、簡易課税制度の適用をとりやめる場合は、とりやめる課税期間の初日から課税仕入れ関係の帳簿及び請求書などを保存することが必要です。
  なお、簡易課税制度を選択している場合であっても、基準期間の課税売上高が2億円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できません。 
5 簡易課税制度の事業区分
事業区分 みなし仕入率 該当する事業  
第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。
第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。
第三種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。
第四種事業 60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業及び第五種事業以外の事業をいい、
具体的には、飲食店業、金融・保険業などです。
なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。
第五種事業 50% 不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。
 なお、事業区分の判定に当たっては、次の点に留意してください。
(1)第一種事業
消費者から購入した商品を品質又は形状を変更しないで他の事業者に販売する事業も卸売業に該当することになります。
また、業務用に消費される商品の販売(業務用小売)であっても事業者に対する販売も卸売業に該当することになります。
(2)第二種事業
食料品小売店が他から購入した食料品を、その小売店舗において、仕入商品に軽微な加工をして販売する場合で、加工前の食料品の販売店舗において一般的に行われると認められるもので、当該加工後の商品が当該加工前の商品と同一の店舗において販売されるものについては、加工後の商品の販売についても第二種事業に該当するものとして差し支えありません。
    また、自動販売機で飲食料品等を販売する事業は、コーヒー、ジュース、カップラーメン等のように自動販売機の中で製造行為が伴うものであっても、第二種事業に該当します。
(3)第三種事業
第三種事業は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定します。
   なお、次の事業は、第三種事業に該当するものとして取り扱われます。
イ 自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ指示した条件にしたがって、下請加工させて完成品とするいわゆる製造問屋
   ロ 自己が請け負った建設工事の全部を、下請に施行させる建設工事の元請
   ハ 天然水を採取して瓶詰等して人の飲用に販売する事業
(4)第五種事業
第五種事業も、第一種事業から第三種事業以外の事業とされる事業を対象として、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類に該当するかどうかにより判定します。
なお、日本標準産業分類上の大分類が不動産業、運輸通信業、サービス業に該当するものは、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」であっても、第五種事業に該当します。
また、サービス業から除くこととされている「飲食店業に該当するもの」とは、次のようなものいいます。
イ ホテル内にある宴会場、レストラン、バー等のように、そのホテルの宿泊者以外の者でも利用でき、
   その場で料金の精算をすることもできるようになっている施設での飲食物の提供
   
ロ 宿泊者に対する飲食物の提供で、宿泊サービスとセットの夕食等の提供時に宿泊者の注文に応じて
行う特別料理、飲食等の提供や客室内に冷蔵庫を設置して行う飲料等の提供のように、料金体系上も宿泊に係る料金と区分されており、料金の精算時に宿泊料と区分して領収されるもの
なお、例えば、「一泊二食付で2万円」というように、食事代込みで宿泊料金が定められている場合は、
その料金の全額が第五種事業の対価となります。
(5)第四種事業
事業者が自己において使用していた固定資産の譲渡を行う事業は、第四種事業に該当することになります。
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